トップページにもお知らせいたしました個展について。

震災のニュースを知ったときには呆然としてしまいました。
茨城出身なので、いまだ余震の続く状況に家族や知人がいると思うと、
ひたすら制作をしていて良いのかわからなくなってしまっていました。

でも私にできる事はむだな買占めをしないことと、作品をつくることしか出来ません。
まっすぐな気持ちで制作に向かい、見ていただいた方にあたたかな何かを届けられるように、
個展までの残りわずかな時間をがんばろうと思います。



今回のタイトルは「本棚と引出し」です。といっても家具展ではありません。

一年半前にお話をいただいたときからずっと、自分の作品について考えてきました。
なぜそれを作ろうと思ったのか、どうして作りたいのか。
なにから影響を受けたのか。
そんな中ある思いが出てきて、ひとつの文章を作りました。

きっとそれが答えです。
そうしてこのタイトルになりました。



本棚と引出し


人はそれぞれの頭の中に「本棚」と「引出し」を持っています。

今まで出会ってきた出来事は丁寧に綴じられ物語となり,
少しずつ本棚の中に増えていきます。

幼いときから生まれてきた様々な好奇心は小さな種となり、
引出しへ大切に仕舞われていきます。

やがて種は芽を吹き、引出しの中から若葉をそっとのぞかせるでしょう。
すると人は、席を立ち本棚へと向かいます。
そして一冊の本を手に取るでしょう。
若葉に物語を聞かせるために。

人はその綴じられた本を「思い出」と呼び、その若葉を「夢」と呼びます。
若葉はやがて成長し、やわらかな蔓をまとい、本に触れ、絡まり、溶け合いながら花を咲かせます。

いくつもの花を咲かせながら、人は大人になっていくのです。
そしてそこから何かを生み出していきます。

その何かはきっと、他のだれかの本となり、種となるでしょう。